2012年5月14日 (月)

舟を編む

三浦しをん 著
(光文社)

語るまでもないが、2012年本屋大賞作。

辞書作りという一見地味な仕事にスポットライトをあてた作品。
言葉が人と人を繋ぐ。

一瞬、「天地明察」の渋川春海と重なる部分があるなあと感じた。
一つの目的の実現のために膨大な時間を費やし、情熱を注ぐ。
そのすばらしさを再確認させてもらえたありがたい作品ですが、

それよりも

まじめ君をはじめとして、佐々木さん、かぐやさん、不器用で個性的な面子に加え、
唯一常識的に見えてそうでもない西岡など、不完全な人々が
彼らなりに懸命に生きようとする姿を描いたこともそうだけど、

それよりも

現時点でこのようなストーリーが受け入れられるこの国の
風潮というか人々の価値観に対して安堵したというか少し嬉しい気持ちになった。

ドロドロした社会の中の一時のオアシス。

まあ月9あたりでのドラマ化は逆に安っぽくなって
原作の良さを落とす気がするが…

それにしても

自分の語彙力の少なさを
より深く感じさせられました。はあ…

2012年5月 9日 (水)

風の又三郎

宮沢 賢治 著

(岩波少年文庫)

言わずと知れた、賢治の童話集です。

「雪渡り」「よだかの星」「ざしき童のはなし」
「祭の晩」「虔十公園林」
「ツェねずみ」「気のいい火山弾」
「セロ弾きのゴーシュ」「ふたごの星」
「風の又三郎」
の10編。

小学5・6年以上といっても字体も大きく
大人でも楽しめると思います。

弱者の味方というか、
決して手をさしのべて助けるというわけではないのですが
そっと光を当ててくれる賢治の純粋さと優しさが心に沁みわたるわけです。
(なぜなら私の心が汚れているから…)

火山弾のような寛大さがほしいなあ。
ゴーシュがかっこうに謝るところはじーんとなります。

私は小人ですね。本当に。

それにしても一日に4つの文章をも書き込むのは
さすがに疲れました。
賢治が生きていたら苦笑したでしょうね。

マウンテンデュー

和泉トリオのライブにガールトークまで行ってきました。
4月27日(あたり)は特別な日です。

初めてのライブも4年前の4月28日ですし、
昨年は3.11以降の和泉さん最初のライブは4月27日でした。
丁度1年経つわけです。

前半は、「sky so blue」から。
曲名から奏者の自然美への強い思いが伝わります。
やはり日本っていう感じが。
途中、超短期のアルバム録音となぜ髪を切らないかの話で盛り上がった後、
「北風」と「大地の歌」は新アレンジで。
大地は、ロンドン五輪関連番組の主題曲
にでもなりそうな雰囲気です。

後半は6月末発売予定の
新作アルバム「しなやかな風」から数曲披露されました。
水戸で先行って、やはり水の街だからなのか
兎に角得した気分です。
最初の曲の名前が変更したのですが「マウンテンデュー」
といって、かなりウケてました。

後でCD聞けば分かるとは思いますが、
ウッドベースに変わっただけでなく、
いろいろとアレンジ多彩で、「新鮮で心地よいサウンド」
だと個人として思いました。発売日が待ち遠しい。
そして終盤、四角のグループの「あのバラード」は
感涙ものでした。想定外。アルバムに入っていたりして…

で、やはり生演奏が一番いいと
再確認して大満足で帰途についた次第です。

拙い文章でお届けしました。
明日は草むしりせねば…

2012年5月 8日 (火)

風林火山

井上 靖 著 (新潮文庫)

善光寺繋がりで…

井上さんの作品は「あすなろ物語」だけしか読んでおりません。
すいません。

 軍師、山本勘助の視点で語られる、
武田軍の戦い(川中島まで)の様子を描いた作品です。
勘助が馬を走らせる姿が目に浮かびます。

川中島と言えば、高校生の時に、
父の実家に帰ったついでに立ち寄った記憶があるが、
当時は、何が何だか分からぬまま(世界史選択してた…)
そんな、私がなぜ読むのかと言えば、
単に大河ドラマをきっかけに購入して読んでなかっただけという
淋しい理由。
まあ、今年のお盆は帰省する予定だから
一応信州人の血が流れている身として予習せねばと。

諏訪氏を謀殺した上に、諏訪氏の娘由布姫を信玄の側室にするあたりは、
今のフェミニストや女性学者は絶叫し卒倒するかもしれないが、  
由布姫もそんな状況をしたたかに生きていくわけで、

生きるってこういうことなのかな。
今の政局みたいなところもあって嫌だけど、
与えられた自由の中で生きるのではなく、
不安と混沌の中で生きのびるべく努力するのが
本来の姿なのか。
だまして騙されて…

平和ボケしているけど、一寸先は闇のような。
円高進むのか。

久々に路線バス

どうも連休中は萎えてまして…
久々の更新です。

テレビではテレ東「路線バスの旅(高松~伊勢神宮)」最高でした。

もう寅さんや釣りバカの領域に突入した感があります。
番組の成功は「マドンナ」次第ですね。
4日間ひたすらバス乗り継ぎの旅。
初日は余裕があってもやはり後々本性が出ます。
女優さんでも仕事だからいやいややってるか、それとも結構楽しんでいるのかか、
今回は男性二人を立てていたいたのがよく分かります。終始いい雰囲気。
人柄でますね。

それにしても、蛭子さんの食欲に脱帽。
次は「伊勢神宮~善光寺」と勝手に予想。

2012年4月22日 (日)

〈銀の匙〉の国語授業

橋本 武 著
(岩波ジュニア新書)

1912年生まれ、1984年まで灘校の国語教師だった
筆者による自分史的本。

マスコミ等でも話題になった、3年間かけて
「銀の匙」(中 勘助 著)をゆっくり読んでいく
独特の授業についての詳細が書かれております。

進学校でスローリーディング。
いやいや脱線も計算上であって、
生徒が主体的に読んだり、書いたりするような
きっかけをつくろうとする、著者の長年の努力が目に浮かびます。

この本を読んで
ふと予備校時代を思い出しました。
どちらかというと、
高校の方が受験対策ばかりの授業だった気がします。
買わされた問題集を制限時間内に解いて、
短く解説されて終わり。

予備校入る前もそうした先入観がありましたが、
精読や雑談の中に橋本氏の授業と似たものを
感じました。
あの県立の3年間の授業は何だったんだろう。目から鱗でした。
本当に良いものには、
なにか惹きつけられてしまうものがあるのですね。
予備校のテキストは未だに捨てられません。

若いうちにもっと本読んどけばよかったなあ…

確かに
灘校は、進学校なので、相対的に学習意欲は決して低くはないはずで、
県立中学レベルで似たことを実践したらどうなるのかという疑問も湧きますが、
いや、それほど関係ないのかもしれません。

公立でも、オリジナルプリント等用意して、
信念持って授業する先生も多数いるのでしょうね。

ちなみに、この本「ジュニア新書」ですが
年配の方向きでもあろうかと。
(筆者も年配の方に読んで頂きたいと述べています)

ここまで書いておいて「銀の匙」読んでいないのは
どうかと思いますので、なんとか…

2012年4月19日 (木)

八日目の蝉

角田 光代 著
(中公文庫)

最近深夜のNHKを見るのが習慣化してます。
ツイッターを用いて意思疎通の双方向化を目指しているようですが、
何故か逆にアナログっぽいというか、一瞬垣間見える送り手の人間臭さが
却って新鮮な感じが。
ニュース番組って、結構キャスターの会話やしぐさ、人柄(実際には会ってないのにね)
をみて選択している人も多い気がする。
内容だけだと、最近どのチャンネルのニュースも似たような構成(ワイドショー的)だから。

最近で言えば、bizスポの3人の関係が、かつての「筑紫、草野、佐古」トリオの23のような
適度な均衡がとれた雰囲気でよかったけど。
(久米さんの番組とはまた別の意味で)

23時台には実現できないであろう番組の今後に期待。

と、話を本題へ。

不倫相手の娘(赤ちゃん)薫こと恵理菜を誘拐し、
3年半の逃亡中、
実の母親のごとく、薫に愛情を注いだ女、希和子。

それから10数年。
大学生になった恵理菜が、気がつけば、
仮の母、希和子と同じことを繰り返し…

そんな話です。

登場する男性は不倫相手に、「妻とは必ず別れるから」
と言っておきながら、妊娠すると態度が一変。
一方、妻がいる事実を分かっているのに、
わずかの望みを断てず、好きになった男を信じて、別れられない女。

それにしても母は強し。
周囲の状況がどうであれ、理屈がどうであれ、
自己を犠牲にしても、我が子を守ろう、育てようという意思は
父親のそれを遥かにしのぐ。
実際に母親になった者にしか分からないことなんだろうね。

実子を殺してしまう事件もある昨今、
犯罪者ながら、4歳まで薫を育て上げた希和子には親なら、
「有難う」と言うかもしれないな。
それ位同情したくなる希和子の人柄。

以前よんだ角田さんの作品でもそうだけど、
若い女性が喫煙する場面が出てくるが、
個人的には、器が小さい人間だからだと思うが、
多面的寛容的に見ようとおもっても、やはり興冷めしてしまう。
薫には幸せになって欲しいけど、
タバコやめられるのかなあ…

いろいろと話題の小豆島。いいところなんだろうなあ。
黄昏時、褐色の瀬戸海を一度でいいから眺めたい。

うちの田舎もいいところだったんだけどなあ。
何もないけど、夏涼しく冬もそこそこ温暖で。
魚も美味かったし。平目とか。

こないだ宍道湖産のシジミ食べた。

時間がどんどん過ぎていく…
今回もいつも通りまとまりきれずに終了。

2012年4月12日 (木)

陽だまりの彼女

越谷オサム 著

(新潮文庫)

中学の同級生が10年後、社会人として
「偶然」の再会を果たし、その後結婚。

しかし、彼女には秘密があり…という話。

現代版「鶴の恩返し」とでも言ったらよいのか
2回読めば、伏線とか分かるけど、
残り10ページまでラストは予想できなかった。

切ないけど、久々に、思いやりのある登場人物の
超甘々ストーリーを読み、疲れが取れました。
人間不信からの一時の解放。

身分相応の地味で堅実だけど
休日に陽だまりでごろごろした生活、そんな幸せ。

それすらも理想なんだな。

「お前、金魚のブライアン喰ったろ」
この台詞は結構ぐっと来た。

中学の成績よくなくても、高校行ったらよくなる人結構多いよ。
勉強って気持ち次第だからね。うんうん。 

2012年4月10日 (火)

聞く力

心をひらく35のヒント

阿川 佐和子 著

(文春新書)

大学の時、ゼミかなんかの課題で
インタビュー実習をすることになり、
しかも相手が「働く独身女性」に
現状と未来について聞くという
(なぜこういうことをやることになったのかは不明)

質問リスト作って、
テープレコーダ持って、
職場に出向き話を聞かせてもらったことを
思いだしたわけです。

当時も、確か「聞き上手 話し上手」
という題名の新書か、あるルポライターの
インタビュー本を(パラっと)読んでから
「とりあえず、視線をあわせて相槌を打つ」
ことだけ意識して、
臨んだものの、結果は散々。
テープを聞くと切なくなる。
まず、自分は早口で挙動不審になる。
相手の話を聞いていない。
とどめは、自分の話す時間が長い。

とそんなつらい過去を思いだしていた中、
新聞の広告見て、今の自分に活かせるか考え
読んでみました。

「こうしなさい、ああしなさい」と説教的ではなく、
阿川さんの体験が、成功失敗ともに具体的に書かれていて、
分かりやすく楽しめる内容でした。
以前読んだ「聞き上手…」と内容は重なる
部分は多かったと思いますが、
一つ新鮮だったのは、
「なぐさめの言葉は二秒後に」というところ。

自分は、性格的に間が持たない人間だと分析しています。
スタバに入っても
なんか混んでるのに長居したら悪いなとか考えて
グランデのコーヒーも多分10分で飲みほして
出てきてしまいます。

ちょっと話が違うかもしれないですが、
私は間を持てる余裕がもう少し必要なんだと
再考させて頂き、この本を読んでよかったと思いました。

阿川さんは本のなかで謙遜しきりですが、
気遣いや頭の回転の速さや、誰にも真似できない人柄や生き様が、
二十年もの対談のお仕事がつづいていることに繋がっているわけで、
やはり、誰もが真似できるわけではないんです。
と、僕は思います。

白夜行

東野 圭吾 著

(集英社文庫)

いまさらかもしれませんが、
東野さんの小説を読むのは「白夜行」が初めて。

超長編小説。
あらすじは、知っている人が大多数だと思われる。

1973年、大阪質屋殺し。それから19年間、いろいろなことが起きます。
被害者の息子、亮司と質屋の客の娘、雪穂。
二人と関係する登場人物の言動が書かれています。

読み進めていくうちに
少しずつ、質屋殺しの真相と二人の関係が明らかになっていきます。

確かに二人とも、小学生ながらとんでもない経験をして、
心に傷を負ってしまうわけだけど、
彼らの周囲の人々があまりに不幸になっていくので、
これから桜が咲くっていう時期に、
切なくて、鬱になりそうです。

信じられるものは金だけって…シャイロックか。

せめて小学生までは親の愛情を注いであげたい(もし親なら)。
日本人も離婚率が高くなってきていると思うが、
子供は親を選べないからなあ

サボテンとか造花とかが雪穂の心の奥を象徴している気がした。
植物だって水をあげないと枯れちゃうけど。

ところで、篠塚美佳を襲ったのは一体誰だろう。
あれも、まさか…ってね。

雪穂みたいな女性に会うことは決してないと思うが、
(勿論アウトオブ眼中ですね)
万が一宝くじでも当たって資産家になって、
そういう人が来たとしても、絶対見抜けず
利用されて終わりそうだな、自分は。いいカモにされるだけ。


面白かったが、疲労感が残ります。

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